色彩と介護の意外な関係

高齢者は、身体能力の低下とともに、精神的にも弱ってくるケースがよく見られます。高齢者施設は、汚れが目立ちやすいように、壁などに白色が用いられることが多いです。白は清潔感があるうえ、すべての光の色を反射するので室内がとても明るくなるというメリットがあります。しかし、体力が弱っていたり体調が悪い場合は、眩しく感じより疲れやすくなることも。また、冬場などは無機質な白色は冷たい印象を与え、実際に体感温度を下げるという報告もあります。仮に白色を使用するなら、反射が弱いオフホワイトを使うなど工夫することが大切です。

色はそれぞれに印象というものがあります。青は爽やか、緑は和める、オレンジは元気さを感じ取ることができます。特に、白ばかりで病院にいるような室内では、介護スタッフも冷たい印象を受けるかもしれません。室内の雰囲気づくりは、壁紙を塗り替えたり大がかりなことをしなくても簡単にできます。一気に空間の印象を変えたいなら、カーテンや椅子カバーなどの面積が大きい部分を、こんな雰囲気にしたいと思う色彩にチェンジするだけで効果が期待できるのです。リラックスして欲しい場所では、緑色やベージュ、落ち着いた青などが良いでしょう。少し元気を出して欲しいと思うときは、赤や黄色などをアクセントで用いると効果的です。

色彩が身体に及ぼす影響は、実際に考えているよりはるかに大きいもの。色の正体は太陽から注がれる光のエネルギーそのもので、私たちの目や皮膚から体内に取り込まれ、交感神経や副交感神経、ホルモン分泌系の神経を刺激するからです。